昭和の化石の英語教室

昭和の終わりに日本を離れたラッキーな老人の英語教室

歳をとってからの英語の勉強方法

歳をとってから何かを勉強をするのは、もちろん不利です。私(60代半ば)なんか、1日の何割かは、どこに置いたか忘れたものを探すのに費やしています(携帯はどこだ、とか)。50年前のことは「昨日のこと」のように覚えているのに(失笑)。

歳をとってから英語を勉強し始めている方は、効率よくやらなければ、上達できません。こればかりはどうしようもありません。若い頃のように、単語のまる覚えなんかやろうとすると、確実に挫折するでしょう。

そこで私が推薦する勉強方法は「フォニックス」です。英語では、スペルと発音が1対1でないため、どういったスペルではどういった発音になるかを教える方法です。これは元々アメリカでは、幼稚園の子供から小学校低学年でやる勉強です。いかに我々の脳が衰えているとはいえ、流石に「幼稚園の子供」にはまだまだ対抗できると思います。

非ネイティブの大人が「フォニックス」を勉強すると、発音がとてもよくなります。実は、日本人にとって、これが「フォニックス」を勉強する最大の利点だと思います。単語とか文法などは、使わないと忘れてしまいますが、一旦「口」が覚えた発音は簡単には消えません。「訛り」がなかなか消えないのはそのせいです。

言い換えれば、発音は一旦できると「頭」ではなく「口」が覚えているので、歳はあまり関係ないです。子供に比べると発音を習うスピードは遅いかもしれませんが、若い大人と年寄りと、私の経験ではあまり差はないです。練習する「暇」と「根性」は問題になります。我々の年代は、「暇」はあるし、「根性」だって若い人にはまだまだ負けません(笑)。

グーグルで「フォニックス」を検索してみてください。「フォニックス」を教えてくれる1対1の家庭教師が一番いいと思いますが、自分自身でもかなり勉強できると思います。

 

 

"Can" と "can't" の区別

先日少し触れましたが(→「母音のリダクション」について その2)、アメリカ式の発音では "can" と "can't" の発音の区別が難しいことがあります。なぜかというと、アメリカ式の発音では、"can't" の最後の "t" が聞こえないからです。つまり、"can't" は /kæn?/ と発音されます。このことは普通、辞書には書いてありません

この "?" は "glottal stop" (声門閉鎖音)と呼ばれる喉の動きです。日本語の掛け声で「はっ!」と言う時、「は」の後突然息を止めるあの動きです。聞こえる「音」は出てきません。従って、"can" を教科書通り /kæn/ (←クリック) と発音してしまうと、アメリカでは "can't" と区別できなくなります。

因みにイギリス式発音では、"can't" は /kɑ:nt/ と発音するのでこういった問題は起きません。ただし、この発音は、女性性器あるいは「ばか・低俗」を意味する "cunt" /kʌnt/ に近いので気をつけてください。あなたが "can't" をイギリス式に発音して、もしネイティブがニヤッとしたら、/ɑ:/ が短すぎます(ま、言いたいことは通じますが、笑)。

アメリカ式発音では、"can" はストレスのない時には、/kən/ と発音されます。ストレスのある時だけ、例えば "Yes, we can!" などの場合だけ、/kæn/ と発音されます。"can't" は常に /kæn?/ と発音されます。"cannot" は話し言葉では使われません。例:

John: When cən you go to the movies with me? 

Lisa: I cæn’t go this weekend because I have to work. 

John: Cən you go on Monday? 

Lisa: I think I cən go then, let me check my schedule. Yes, I cæn!

(source: https://www.confidentvoice.com/blog/how-to-pronounce-can-and-cant/)

最後に、私の大好きなユーチューバーの Vicki と Jay が "can vs can't" について面白おかしく説明しているので、ぜひご覧ください。

How to say CAN and CAN'T in British and American English - YouTube

 

「Cさん」と「Jさん」がエレベーターで喧嘩してます。

「Cさん」と「Jさん」はお互いを必要とするビジネスパートナーですが、あまり仲良しではありません。今日はエレベーターの中で喧嘩しています。

Jさん:(プー、オナラの音)

Cさん:ちょっと待て!ここでオナラはするな、と言ったよな!エレベーターの空気はお前だけのモンじゃないんだぞ。「毒ガス」を撒き散らすな!

Jさん:何をグチャグチャ言ってるんだ。俺の「毒ガス」濃度は許容範囲内だと「お墨付き」だ!これをみてみろ(国際毒ガス研究所の証明書を見せる)。「科学的に」絶対に安全だ!

Cさん:そんなもん、知ったことか。あいつらは、どうせお前らとグルに決まっている。そんなに安全なら、なんで自分の家でやらない?

Jさん:俺の家は小さくて、オナラする場所はなくなっている。もう、どうしようもないんだ!それに、お前自身だって、エレベーターの中でオナラしているじゃないか!他の人もみんなやってる。なんで、俺だけに文句言う?政治的な狙いでもあるのか!

Cさん:わけのわからん事を言うな!俺のオナラは正常な胃腸活動で発生したもんで、問題はない。お前のオナラは、元々、とんでもない食中毒から出てきたやつだ。何が入っているかわかったモンじゃない!

 

この喧嘩、もうしばらく続くようです。

 

初級英語(16):「母音のリダクション」について その2("can" の発音)

先日説明いたしましたように、複数の音節からなる英単語では、ストレスのない音節の母音は大体「シュワ」/ə/ (曖昧母音)になります(人によっては /ɪ/ みたいになることもありますが、聞いた感じはほとんど差はありません)。

この現象は「母音のリダクション」と呼ばれ、自然でわかりやすい発音にする重要な要素です。これによって発音のメリハリが形成され、聞き取りやすくなります。例:

"na.tion.al.ist" (最初の音節 "na" にストレス) /.ʃ(ə)n.əl.əst/

(上で右端の点々三つをクッリクすると、再生スピードを変更できます。)

「母音のリダクション」は文章の中でも発生します。例えば "can" の発音です。この単語は、本来、 /kæn/ と発音されます。

しかし実際の会話では、"can" にストレスがない限り /kən/ と発音されます。例:

"Can I have a hamburger, fries, and a coke." /kən.aɪ.../

"How can I help you." /haʊ.kən.aɪ.../

 

最後になりましたが、"can" を /kən/ と発音するということは「アメリカ式発音」では、非常に重要です。というのは、「アメリカ式発音」発音では、"can't" の "t" は落ちてしまって、/kæn?/ ("?" = "glottal stop" 注) と発音するので、"can" と区別できなくなるからです。

注:"glottal stop" とは、声帯を急速に閉じることによって生じる停止音のことです。日本語で「ハッ」と掛け声をかける時の最後の停止音です。「アメリカ式発音」では、単語の最後の "t" は、大抵 "glottal stop" になります(つまり聞こえません)。例:"won't" "don't" etc

例えばあなたが "I can do it." と言いたい時、/kæn/ と発音してしまうと、アメリカ人には、あなたが "I can't do it" と言ったように聞こえて、困惑してしまいます(笑)。

 

中国からの迷惑電話について

私は中国に住んでいる日本人です。ご存知のように、日本政府が福島からのALPS処理水の放出を始めてから、中国からの迷惑電話がひっきりなしにかかっています。それに関しての、私なりの分析です。

放出以前から中国政府はこれを「核汚染水」と呼び、日本の行為は非常に危険で無責任である、とのキャンペーンをやっていました。中国では反政府的な意見は公には出てこないため、政治に関わる報道は一方的になります。その結果でしょうが、私の周りでも心配している中国人がかなりいます。「上海に友達がいるけど、あそこは海に近いので危ないんじゃないか」とか、そういう心配です。一般の人たちにとって「放射能」とは、何か得体の知れない、目に見えない怖いものだということは、お分かりいただけると思います。

しかし、こうした一般の人たちが迷惑電話をかけているのではありません。中国には14億の人間がいますから、仮に「一万人にひとり」が電話をかけても、十万件以上の迷惑電話がかかってくることになってしまいます。言い換えれば、ほとんどの中国人は不安は感じているでしょうが、日本には何もしていません。12年前の尖閣諸島国有化の時にも私は中国にいたのですが、あの時の大騒ぎに比べると(実際「危ない」と感じました)、今回は全く静かです。

じゃあ、どういった人たちが迷惑電話をかけているんでしょうか。これは私の想像ですが、おそらく大半は無職で「ぶらぶら」している若者たちでしょう。迷惑電話をかけているところをビデオにでも撮ってSNSに投稿し、うまくいけば、たくさんの人が見てお金が入る、とこういう魂胆でしょう。あるいは、単に面白そうだから、とか。彼らは特に政治的な背景はないので、「流行り」が終わったら何もしなくなります。

一方、中国のネットには「憤青」と呼ばれる極端な国粋主義の若者がいます。日本の「ネトウヨ」みたいなものです。こういう若者は、日本が何かするとネットで大暴れします。彼らもおそらく日本に迷惑電話をかけて、しかも、汚い言葉で喚き散らしたでしょう。そのビデオを英雄気取りでSNSに投稿したと思います。ただ「ネトウヨ」と同じで「憤青」の数は多くないので、迷惑電話の大半は彼らではないと思います。

これ以上ひどいことにならないことを祈っております。

 

どういった英語の先生が良いのか

英語の先生としてネイティブがいいのか、日本人がいいのか、はたまた日本人以外の非ネイティブ(例えばフィリピンの人)でもいいのか、そこら中で意見されています。それぞれの「メリット・デメリット」とか並べて、比べていらっしゃるようです。

こういった意見を読むと、なんか「違和感」を感じるのは、私だけなんでしょうか。

確かに、英語教室の先生はお金をもらって「サービス」を提供しているわけですから、そういった意味では、例えば散髪屋さんと同じでしょう。どこの散髪屋さんの腕がいいとか悪いとか、高いとか安いとか、そういった価値判断は、当然英語の先生にも適用されて然るべきです。

しかし、散髪屋さんと違って教師というサービスは、お客さん、つまり生徒さん、との "rapport" (信頼関係) がサービスの効果に直接関わってきます。

先生が生徒であるあなたのことを、どれだけ考えてくれているのか、あなたが先生のことをどれだけ信頼しているのか、そういったことが、非常に重要です。この "rapport" がないと、生徒さんはやる気が無くなり、結果が全く出ません。最悪の場合、英語自体が一生嫌いになってしまいます。実は、これはよくあることです。

ネイティブであれ、日本人であれ、「教師」という職の重みを感じていない、いわゆる「先生」は、残念ながらたくさんいるかもしれません。比較的簡単なアルバイト程度に考えて、英語を教えている方達です。多分、生徒さんを「上からの目線で」みています。こういった先生にもし当たったら、その先生がネイティブかどうか、TOEICが満点かどうかなんて全く関係ない、と私は考えます。最悪の先生です。

生徒さんのことを全く気にかけない、英語「ペラペラ」TOEIC満点、留学経験ありの先生と、生徒のことをなんとかしようと頑張ってくださるTOEIC7ー800点、留学経験無しの先生とでは、私なら絶対に、後者の先生を選びます。

因みに、オンラインの英語教室では、こうした "rapport" はほぼ不可能になります。本質的に教育には向かない環境です。練習にはなりますが、何かを「習う」のは難しいでしょう。

 

初級英語(15):「母音のリダクション」について その1

前回、英語の「音節」、喋り言葉の最小単位、についてのお話をさせていただきました。

ここです→ 初級英語(14):まず「音節」という概念を理解する

今回は、これを基にして、英語の発音で非常に重要な「母音のリダクション」"reduction" の説明をしていきます。これができるかどうかは、あなたの発音がより「自然」に聞こえるかどうか、に関わってきます。

さて日本語では、50音(日本語の音節みたいなもの)を、一つ一つはっきりと発音することによって、わかりやすくなります。ところが、英語で「自然」に喋るためには、全ての音節をはっきり発音してはいけません

ストレスのある音節の母音は、はっきりと発音し、ストレスのない音節の母音の多くは、曖昧母音の「シュワ」/ə/(詳しくはここ→英語でもっともよく使われる母音ー「シュワ」/ə/)に変わります。この現象を「母音のリダクション」と呼びます。これは決して「いいかげんに」発音しているわけではありません。こうしないといけないのです。

 

例1:ba.nan.a ("." は音節の区切り); 発音→ /bə.næn.ə/

(右端の点々をクリックすると、再生スピードを変えられます。)

つまり、最初と最後の "a" は、シュワを使って短く「サクッと」発音します。

 

例2:em.bar.rass.ment; /əm.bɛr.əs.mənt / (最初の/ə/が/ɪ/となっている辞書もありますが、発音はほとんど変わりません)

これもそう。ストレスのある音節の母音だけを、はっきりと発音します。「メリハリ」をつけます。