昭和の化石の英語教室

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初級英語(11):発音ー /n/ と /ŋ/ (ng) の違い

まず耳のテストです。次のそれぞれの音は、どっちが "king" /kɪŋ/ (キング、王) で、どっちが "kin" /kɪn/ (キン、親族) か分かりますか?

答えはこの記事の終わりに書いてあります。

キングの「グ」を期待していると、これは区別できません。「グ」の音は、いずれも出てきません。実は /ŋ/ (ng) と /n/ の区別、このようにはっきりと大袈裟に発音するとわかりますが、早口でしゃべられるとよくわかりません。

しかし心配には及びません。実は、/ŋ/ (ng) と /n/ の区別は、日本語にもあるからです。あなたの口は、この区別を既に知っています。

  • /n/「こんな・検定・問題」の「ん」:舌が上歯茎の後ろに当たります(「ん」の後で止めるとわかります)。
  • /ŋ/ (ng)「ケンカ・音楽」の「ん」:舌は後ろに引っ込んで、どこにも当たっていません。

/n/ の方法で(舌を上歯茎の後ろに当てて)、「ケンカ」って言ってみてください。不自然でしょう? /ŋ/ (ng) の方法で「問題」を言うのも、不可能ではありませんが、自然にはできません。

何でこうなるかというと、「こんな・検定・問題」では、「ん」の次の子音が「な・た・だ行」(n, t, d) だからです。これらの子音は全て「舌を上歯茎の後ろに当てて」発音するので、その前の「ん」はその位置で待機しているわけです。

「ケンカ・音楽」の「ん」の場合、次の子音は「か・が行」(k, g) です。これらの子音は、舌はどこにも当たらないので、「ん」の舌もどこにも当たらないと言うわけです。

 

このように、日本人の舌は既に /n/ /ŋ/ の違いを知っているので、それを英語に持っていくだけの話です。/n/ は舌が歯茎にくっつき(「こんな」の「ん」)、/ŋ/ はくっつきません(「ケンカ」の「ん」)。あとは単に、慣れの問題です。

 

  • テストの答え:1)king, 2)kin