昭和の化石の英語教室

昭和の終わりに日本を離れたラッキーな老人の英語教室

外国語は「耳」で覚えられる?

私は今、中国の武漢にいるんですが、日本語を勉強したい学生は結構いて、私は時々練習台として使われます。彼らの出身地にもよるんですが、「ら行」が「な行」になる人がいます。例えば、「さよな」が「さよな」になります。

ある日そんな子がうちのレストランに来て、日本語は結構上手だったんですが、例の「ら行」→「な行」変換は明らかでした。本人もこの間違いを知っていましたが、どうしても治らないとのことで、私がかり出された次第です。

私:「りんご」

彼女:「んご」

私:「いやいやそうじゃなくて、り・ん・ご」

彼女:「・ん・ご」

私:「えーと、よく聞いて、り・ん・ご」

彼女:「・ん・ご」

(このあと、二人で大笑い)

彼女の「耳」には、「り」と「に」がほとんど同じに聞こえるので、いくら私が「り・ん・ご」と繰り返しても、意味がないのです。しかし問題は彼女ではありません。私は日本語を外国語として習ったことがないので、非ネイティブの彼女の間違いを「どうやって」直すのか、全く知らないと言うことが問題なんです。

 

同じことが、日本人の英語学習者で起きているかもしれません。

"Chloroform"(クロロホルム)を聞いてみてください(単語をクリック)。あなたの「耳」には、最初の「ロ」は "L" で、二番目の「ロ」は "R" だと、聞こえましたか?

もし同じように聞こえたとして、このネイティブの発音を何百回か聞くと、違いが段々とわかってくると思いますか? 年齢とか個人差によると思いますが、私は大部分の日本人には、このやり方は、非常に効率が悪いと思います。特に「日本語の耳」が化石化している人では、絶望的だと思います。

 

もっと手っ取り早いのは、自分で "L" と "R" の「発音」の違いを、まず理屈で理解すること(舌の位置が全く違います)だと、私は思います。それを元にして、最初はゆっくりでもいいから "Chloroform" をちゃんと発音できるようになれば、必ず「聞き取り」も上達すると思います。

参照:初級英語(9):「巻き舌」で「R」の発音をするのはやめた方がいい。 - 昭和の化石の英語教室