昭和の化石の英語教室

昭和の終わりに日本を離れたラッキーな老人の英語教室

「日本人ははっきりとものを言わない」は本当ではない?

英語圏の人は自分の考えを「はっきり」伝えるが、日本人はそうしない、とよく言われます。文化の違いだとか、言語の違い(英語は論理的で日本語はそうでないなど)とか、色々解釈されているようです。私自身も、アメリカにいく前は、そう信じていました。アメリカには26年間住んでいたのですが、今は全くそう思いません。

 

日本に比べてアメリカは、「ビジネス」の人間関係(上司・会社の同僚など)と個人的関係の区別がはっきりしている国です。「ビジネス」の人間関係では、「本音」をいうアメリカ人は滅多に言いません。日本と全く同じです。「はっきり」と言っているような「ふり」をするだけで、「本音」ではありません。

 

一方個人的な関係では、アメリカ人でも「本音」が出てきます。ボスの悪口、同僚の悪口、日本の居酒屋での会話と全く同じです。辛辣な「罵詈雑言」が出て来ることも多々あります。私なんかにとって、スラング英語の勉強になります(笑)。

 

「日本人ははっきりとものを言わない」と言われる原因は、たった一つだけあると思います。それは、「政治的意見」があるかないかです。

 

アメリカは、民主主義の伝統が日本よりずっと強い国です。彼らは小学生の頃から、色々な社会問題(例えば「人種差別」など)について、「意見」を持つことが求められます。「意見が無い」というのは、民主主義国家を担う一員として、「無責任」だとの考え方です。少なくとも、それが「建前」です。

 

日本には、その建前はほとんどありません。何かの社会問題について「意見がない」「わからない」「どうでもいい」といった立場は、全く許されています。むしろ、色々な社会問題について意見を述べる人は、ちょっと疎ましがられるかもしれません。一方アメリカ人からすると、「意見が無い」とは無責任で卑怯な態度に見えるかもしれません。

 

もし今後、英語圏の方が、何かについて「どう思うか」とあなたの意見を聞いてきたら、なんでもいいから意見を言ってみましょう。「正しい」意見など誰も期待していません。意見を言って初めて、「ああ、この人と喋るのは意味がある」と思ってくれるでしょう。