昭和の化石の英語教室

昭和の終わりに日本を離れたラッキーな老人の英語教室

処理水問題:なんでこうなってしまうの? 中国の「メンツ」文化。

私たち中国に住む日本人にとって、この処理水問題は他人事ではありません。11年前に例の島を国有化した時に起きたような、暴動騒ぎにならないようにただ祈るばかりです。

日本の中国外交は、少なくとも今回は大失敗です。日本の水産業会は大打撃だし、こちらにある日本料理店も大打撃です。全く何の関係もない私たちも、ひょっとして被害を受けるかもしれません。

日本の主張に「科学的根拠」があるかどうかは、中国にとって一番大切なことではないと、私は思います。一番大切なことは、日本の行動が、中国の「メンツ」を立てているかどうかです。「メンツ」は中国人にとって、時には命より大切なものです。仮に自分が正しくて、相手が間違っていても、相手の「メンツ」は立てないといけません。

例えば、なぜ日本政府は IAEA の報告(日本の放出計画は安全との「お墨付き」)をあんなに大々的に宣伝したんでしょうか。総理大臣がテレビで IAEA のボスと握手までして。これでは、今までずっと「日本の計画は危険で無責任だ」と言ってきた、中国の「メンツ」は丸潰れです。外交ルートを通して、こっそり伝えるべきでした。それが、中国式の敬意というものです。

もちろん間違ってたのですから、中国の「メンツ」は少し潰れますが、テレビの上で大々的に「そーれ見たことか」とやるのとは、潰れる程度が違います。岸田総理は一体何をお考えだったのでしょうか。私の推測ですが、田中角栄ならこんなパフォーマンスはやらなかったでしょう。

「メンツ」を潰された中国人は、必ずやり返します。やり返す権利があると考えます。中国に住む日本人なら、誰でも知っていることです。半沢直樹の「倍返し」どころではなく、10倍返しです。これがもし予想できなかったとしたら、日本の中国外交官僚は税金泥棒としか言いようがありません。私の全くの個人的意見ですが。