昭和の化石の英語教室

昭和の終わりに日本を離れたラッキーな老人の英語教室

初級英語(5):英語の「え」

日本人の英語の発音について、よく「R」と「L」の区別がつかないと言われます。しかし私が思うに、これは比較的小さな問題で、一番の問題は母音の発音です。日本人の英語初・中級者の多くは、日本語の母音で英語の発音をしてしまいます。これでは通じません。なぜならば、英語の母音の数は、日本語の母音の数よりうんと多いからです。

 

これまで、日本語の「あ・い・う」に聞こえるが、実際にはそうではない英語の音について説明してきました。

初級英語(2):アメリカ英語の三つの「あ」その1 - 昭和の化石です

初級英語(2):アメリカ英語の三つの「あ」その2 - 昭和の化石です

初級英語(3):英語のふたつの「い」 - 昭和の化石です

初級英語(4):英語の二つの「う」 - 昭和の化石です

 

そこで今回は(アメリカ)英語の「え」みたいな音の話です。まず下の図を見てください。

アメリカ英語の母音(単母音のみ)

日本人の耳に「え」と聞こえる音は、英語の /ɛ/ の音です(// は IPA, International Phonetic Alphabet, 国際音標文字です)。例えば "bed" "head" のそれぞれ "e" "ea" の音がこれに当たります。

 

日本語の「え」より少し下になります。これには理由があります。図でわかるように、英語は「前」で発音する母音が「四つ」もあります(日本語では、「い」と「え」の二つだけ)。したがって、/ɛ/ をすこし下に動かさないと、/ɪ/ と区別がつかなくなります(*)

*実際、アメリカの南部の方言では、/ɛ/ と /ɪ/ の区別がほとんどなくなります。こうした方言では、例えば "pen" と "pin" が同じ発音になります(本人は区別しているつもりかも知れませんが、笑)。前大統領の Goerge W Bush がこんな感じにしゃべります(彼はテキサス出身です)。

 

それでは、次の四つの単語を区別して発音してみてください。結構難しいでしょう? でも、これができたら、あなたの発音はかなり通じるようになると思います。

(単語をクリックすると音声が出ます。)

 

bead /bid/

bid /bɪd/

bed /bɛd/

bad /bæd/